【オピニオン】Brexitについて私見~イギリスが内向きに留まることはない~
イギリスのEU離脱が国民投票で決まり、不透明感が漂う中でリスク回避への動きが高まり、一方でイギリスに拠点をもつ日本企業への業績への懸念もあり、マーケットでは現在は落ち着きを取り戻しつつあるが当初は急激な円高株安に振れた。金融業界では迅速に人員配置の見直しや欧州本社移転の検討に着手している外資系証券会社も出てきている。今回の離脱の大きな背景は、移民問題によるイギリス国民の不満の鬱積だと言われている。実際に移民が急増する中で例えばロンドンの学校や病院はパンク寸前となっている。従前に当たり前に享受できていた公的なサービスが手に届かなくなることがあれば、そのような投票行動に結びつく事も良く理解できる。
とは言えイギリスの器はそんなに小さくないはずだ。イギリスには先駆的なリーダーを生み出す歴史と土壌があるのではないか。私がイギリスの大学院に留学していた当時は本当に心から尊敬できる先生方や友人が多くいた。その中でも私の指導教授は「人類の普遍的な価値のために国境を超えて政治がリーダーシップを発揮しなければならない」と力強く訴えられていた。私が指導を受けた1年後にお亡くなりになられたが、大病の身でありながら魂の授業を最後までやり切られた素晴らしい師であった。
ヨーロッパ統合という人類の画期的な試みは、中心国であったイギリスのEU離脱で大きな試練にさらされている。大きな後退に短期的には見えるが、現状のボーダレスな多くの問題を乗り越える知恵を絞り出し、将来の世界のあり方に希望を照らす政治リーダーがイギリスから出てきて中長期的には大きな進歩を実現できるのではないか、そう信じたい。(2016年7月2日)
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