【キャリア】中長期での外資金融でのキャリア構築を考える(ある40代後半の女性の例から)

外資金融では常に人員削減や部門閉鎖、東京からの会社撤退等のリスクがあり、中長期でのキャリア構築を考えにくい、といった声があります。実際に、外資金融でご活躍されてきた方が「中長期で腰を据えて仕事をしていきたい」という理由で日系金融に移られるお手伝いを弊社でさせて頂いたこともあります。その一方で、外資にこだわり、外資金融一本で長くご活躍されている方々も多くいるのも事実です。

ワーキングマザーでありながら複数の外資系証券のフロント部門を渡り歩きご活躍されてきた、ある40代後半の女性ですが、会社都合により今の職場を離れなければならなくなり、新しい職場を探されるということで、この春に弊社でご縁をいただきました。彼女は現場で培った深い専門性を有しており、かつ社内外の人脈を幅広くお持ちの方でした。そして何より今回の会社事情での解雇にもある意味割り切っておられ、今は行動するしかないと前のみを見ていらっしゃいました。

一般的には40代後半や50代での転職は簡単では無いと言われていますが、実際に若者向けの求人案件の数に比べると中高年向けの件数は圧倒的に少ないのが事実です。とは言えこの女性はその後、複数の大手外資系証券会社から好条件のオファーを頂き、そこから最も良い条件を提示した会社を選び、転職されていきました。彼女の気さくで飾らない人柄も重要な要素であったと思いますが、それ以上に、彼女の培ってきた高い専門性や特に社外でのビジネス上の人脈が高く評価されたことがその背景にありました。彼女の専門性が、企業サイドでニーズの高い分野であり、彼女に先見の明があったとも言えるかもしれません。

勿論、個人個人で企業選択の基準は異なりますが、この女性は「責任は重いけれども自由がある外資系は譲れない」というスタンスで外資系にこだわり続け、今日まで人に見えない努力を重ねられ、道を切り拓いてこられました。外資系一本のキャリアであっても、ご自身の市場価値を際立つものにする努力を継続することで、長いスパンでのキャリア構築も可能であることを明確に示してくれました。そして日系企業であっても、市場価値や存在価値を高める努力を続けない限り、もはやそこは安住の地ではあり得ないのも厳然たる事実でしょう。(2015年8月13日)